沖浦和光さんを偲ぶ会(21日、東京・学士会館)が毎日新聞デジタルで報道されました。
http://mainichi.jp/articles/20160323/k00/00m/040/119000c
民俗学者 沖浦さん たこつぼと対極の語り部
昨年7月に88歳で亡くなった民俗学者で、元桃山学院大学長の沖浦和光(おきうら・かずてる)さんをしのぶ会が21日、東京都千代田区の学士会館で開かれた。生前ゆかりのあった大学教授らによる鼎談(ていだん)が行われ、被差別民や漂泊民とその芸能をテーマに国内外を歩いた故人の旺盛な研究活動を振り返った。
鼎談には、民俗学者で学習院大教授の赤坂憲雄さん、映画監督の前田憲二さん、元岩波書店編集者で専修大教授の川上隆志さんが登壇した。
赤坂さんは、自身が編集していた雑誌「別冊東北学」の対談で沖浦さんと初めて会ったと話し、「文句なしに一番面白い対談だった。何とも言えないいかがわしさがあって、こちらが問いを投げかけると、しばしばスルーして全く違う話をする。だが(それらに)関連はあって、30分前の質問に対する答えがいきなり豪速球で返ってくる。語り部としてたぐいまれな存在でした」と惜しんだ。
前田さんは三十数年前、沖浦さんが桃山学院大学長時代に、同大付属高校の記録映画を作った。「学長として多忙だったはずだが、沖浦さんは学生たちとしばしば議論し、大学は沖浦イズムとでもいうのか、活気にあふれ、とても魅力があった。学問を学問として見ず、自分の体験と知性を使って、上からではなく、絶えず地平からものを見ていた。傑出した文化人でした」
川上さんは、ともにフィールドワークを重ねて、沖浦さんの著書「竹の民俗誌−−日本文化の深層を探る」(岩波新書)を編集した。「アカデミズムのたこつぼの対極にいたのが沖浦さん。講演では話の本題に入らないで、前振りで終わるのが特徴だった。既成の秩序ではなく、もっと幅広いところから発想していた」と語った。
会の終わりには、フィールドワークなどの旅の最後に沖浦さんがいつも参加者と歌っていた「今日の日はさようなら」を、妻恵子(やすこ)さんらが合唱。出席者約120人が聴き入った。【中村美奈子/デジタル報道センター】
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