2016年3月23日水曜日

沖浦和光さんを偲ぶ会(21日、東京・学士会館)が毎日新聞デジタルで報道されました。

沖浦和光さんを偲ぶ会(21日、東京・学士会館)が毎日新聞デジタルで報道されました。

http://mainichi.jp/articles/20160323/k00/00m/040/119000c
 

民俗学者 沖浦さん たこつぼと対極の語り部

故人との思い出をゆかりの3人が語った「沖浦和光さんをしのぶ会」=東京都千代田区の学士会館で2016年3月21日、中村美奈子撮影
約30年前、沖浦和光さんから贈られた役者のぼりを披露する俳優の中西和久さん(右)。沖浦さんは芝居の初日に楽屋を訪れ、「よかったよ」と励ましてくれたことがあったという=東京都千代田区の学士会館で2016年3月21日、中村美奈子撮影
 昨年7月に88歳で亡くなった民俗学者で、元桃山学院大学長の沖浦和光(おきうら・かずてる)さんをしのぶ会が21日、東京都千代田区の学士会館で開かれた。生前ゆかりのあった大学教授らによる鼎談(ていだん)が行われ、被差別民や漂泊民とその芸能をテーマに国内外を歩いた故人の旺盛な研究活動を振り返った。
     鼎談には、民俗学者で学習院大教授の赤坂憲雄さん、映画監督の前田憲二さん、元岩波書店編集者で専修大教授の川上隆志さんが登壇した。
     赤坂さんは、自身が編集していた雑誌「別冊東北学」の対談で沖浦さんと初めて会ったと話し、「文句なしに一番面白い対談だった。何とも言えないいかがわしさがあって、こちらが問いを投げかけると、しばしばスルーして全く違う話をする。だが(それらに)関連はあって、30分前の質問に対する答えがいきなり豪速球で返ってくる。語り部としてたぐいまれな存在でした」と惜しんだ。
     前田さんは三十数年前、沖浦さんが桃山学院大学長時代に、同大付属高校の記録映画を作った。「学長として多忙だったはずだが、沖浦さんは学生たちとしばしば議論し、大学は沖浦イズムとでもいうのか、活気にあふれ、とても魅力があった。学問を学問として見ず、自分の体験と知性を使って、上からではなく、絶えず地平からものを見ていた。傑出した文化人でした」
     川上さんは、ともにフィールドワークを重ねて、沖浦さんの著書「竹の民俗誌−−日本文化の深層を探る」(岩波新書)を編集した。「アカデミズムのたこつぼの対極にいたのが沖浦さん。講演では話の本題に入らないで、前振りで終わるのが特徴だった。既成の秩序ではなく、もっと幅広いところから発想していた」と語った。
     会の終わりには、フィールドワークなどの旅の最後に沖浦さんがいつも参加者と歌っていた「今日の日はさようなら」を、妻恵子(やすこ)さんらが合唱。出席者約120人が聴き入った。【中村美奈子/デジタル報道センター】

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